12月5日、全厚生・社会保険庁不当解雇撤回闘争団は、全労連と東京地評が主催する「争議支援総行動」に参加しました。
この行動は、民間・公務問わず、不当な解雇・雇い止め、不当労働行為や労働条件の切り下げなどに対し、裁判所・労働委員会・人事院に訴えてたたかっている労働者を支援するため、年2回行われている取り組みです。複数のコースに分かれ、一日がかりでそれぞれの争議について街頭での訴えを行うとともに、それぞれの会社や対応当局への要請を行っています。
5日朝から、全厚生の闘争当事者と組合役員は、全国税の原口さんの分限免職取消のたたかい、明治乳業争議団の40年以上にわたる労働条件改善のたたかい、日本IBMでのジョブ型再雇用による労働条件切り下げにたいするたたかいなど、多くの争議に関する訴えを聞き、連帯のシュプレヒコールを行いました。
午後からは私たち全厚生闘争団が、厚生労働省前で2009年末の不当な分限免職(不当解雇)の取り消しを求めて訴えを行いました。厚労省前には、20団体、50名を越える支援者が集まってくださいました。
全労連の竹下事務局次長のあいさつ、全医労の松本副委員長から連帯あいさつをいただいた後、全厚生・藤江書記長から経過と現状の報告を行い、その後、当事者2名からあらためて決意表明を行いました。
当事者の北久保さんは、「525名の解雇は本来必要なかった。年金業務はそのまま継続しているし、職員も民間から1,000人雇っても、まだ300人以上欠員だった。社会保険庁への批判を末端の職員に押し付けるための政府・政治の横暴であり、許せない」と訴えました。また、「日本年金機構は16年も前の自民・公明政権の閣議決定を理由に、『社会保険庁時代に懲戒処分歴のある元職員は、非常勤職員であっても採用しない』という採用基準を15年も継続している。この人権侵害とも言える採用基準を撤廃させ、年金業務を希望するベテランの元職員を職場に戻さなければならない」と決意表明しました。
当事者の松本さんからは、「みなさんからすでにお話があったので、多くは語りません。私はただ、『年金の信頼回復』と言って首を切られたことが、悔しいし、許せない。批判をかわすために、普通に仕事をしていた職員が犠牲にされたんです。こうした誤ったやり方を正したいというのが私の思い」と、切実な訴えがありました。
厚労省前での訴えのあと、当事者と役員で厚労省への要請を行いました。藤江書記長から申入書を提出し、あらためて厚労省に「不当解雇撤回」の判断を求めるとともに、日本年金機構でいまだに続く「懲戒処分歴のある者に対する採用差別」、その根拠となっている「日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画」をただちに見直すよう求めました。
厚労省は、「分限免職は適法であり撤回しない」「基本計画は見直しする性格のものではなく、年金機構の採用基準も基本計画どおりの対応となる」と従来の内容の繰り返すにとどまりました。
組合からは、すでに15年が経過しており、状況が大きく変わっていること、年金機構でも「当面の計画」を変更・修正する動きが出ていることを指摘しましたが、厚労省年金局は、基本計画は引き続き有効で、変更や修正と見られる点も基本計画の範囲内であると、あくまで基本計画の閣議決定に固執する見解を繰り返しました。
組合からは、「基本計画」で元々は5年程度と想定されていた「システム刷新」が、今は(希望的観測でも)2029年までかかるとされ、15年経ってほぼ15年延期されている実態を指摘し、基本計画自体が破綻していることを強調しました。また、分限免職された仲間も高齢化しており、引き延ばしは許されないこと、現在なら市町村や街角センターで働いている職員がおり、即戦力で年金業務に復帰が可能であることを訴え、速やかな採用基準の是正を重ねて申し入れました。
最後に、非正規職員の処遇改善等で確実に人材を確保し、年金業務の安定的な運営へ向けて指導力を発揮するよう求めるとともに、引き続き要請を続けることを伝え、要請行動を終えました。