厚生労働省関係機関(本省、試験研究機関、福祉施設、日本年金機構、全国健康保険協会)に働く職員の労働組合

非正規職員の使い捨ては許さない
日本年金機構と団体交渉

2022.03.10

 全厚生は2月25日、非正規職員の雇い止め中止と処遇改善を求めて、年金機構と団体交渉を実施しました。
 冒頭、藤江副委員長から「職場で非正規職員の役割が大きくなっている。非正規職員が働きがいを持てる職場にするためには、処遇の改善が急務。年金機構は、私たちの要求を真摯に受け止め、職場の将来像をしっかりと示し、非正規職員が働くことに希望の持てる誠意ある回答を行うよう求める」と要望しました。

 年金機構は誠意のない回答に終始

年金機構からの回答は、今までと何ら変わらず具体的な内容を示さない全く誠意の感じられないものでした。
 ①非正規公務員で実現した産前・産後休暇、不妊治療休暇については、社会情勢に注視し検討。
 ②扶養手当・住居手当などの各種手当の見直しについては、国家公務員や民間企業等の動向を踏まえ検討。
 ③無期転換職員の月給制導入についても今後検討。
 ④昇給制度、退職金については今後検討。
 ⑤雇い止めの見直しはしない。労働契約法の趣旨に沿い適切に運用している等。

 職員の声を伝え雇い止め中止を求める

 全厚生から今年の年度末で雇い止めとなる非正規職員の方の声を紹介しました。(抜粋)
「突然の事だったので、理由も何も聞けていませんが、多分前に誤交付して事務処理誤りになったからだと思います。いろいろ言いたいことはあるのですが、私はもう疲れてしまったので、辞めようと思っています。
正社員でなければすぐ首を切るやり方は、公的機関と思えないほどです。それも突然、理由も何も言われずもう終わりと言われて、物のような扱いにがくっときてしまいました。バタバタすぎて、考える余裕もなく、間違いも起きやすい環境で働く事に嫌気がさしてしまいました。いろいろとしてもらって申し訳ないのですが、もう闘う気力もなく本当に疲れたので退職します」
 これ以外にも、今回の試験で不合格となり、上司から「誰でもいいけど、誰か不合格になる人を作らないといけないから」と言われた事例等を紹介し、試験制度の不明瞭さや、ベテラン職員を雇い止めにすることによって起きる職場の混乱、職場の雰囲気を壊す弊害について訴え、安易な雇い止めは中止するよう求めました。
 年金機構から、業務運営に支障をきたしていることに対する謝罪、雇い止めを見直すという回答は一切なく、「雇い止めの理由はきちんと伝えるように指示している」との回答に終始し、職場や非正規職員への配慮は全く感じられませんでした。

 休暇制度の早急な改善を

 休暇制度、特に人事院勧告により改善された非正規公務員の産前・産後休暇や不妊治療等の即時導入を求めるとともに、賃金の見直しのみ人勧準拠に固執し、その他労働条件を全く改善しようとしない年金機構の矛盾点を追及しました。
 労務管理部長より「女性が働きやすい職場を作るためにも、産前・産後休暇や不妊治療、男性の育児参加の休暇は早急に改善すべき課題だと認識している。遅れているがもうしばらく待ってほしい」と回答がありました。

 業務内容に見合った昇給制度の導入を

 年金機構本部支部より参加していた非正規職員の組合員から処遇改善を求める発言を行いました。
「私は非正規職員なので、毎年1月2月になると次の更新のことで不安に襲われます。経験を積んで仕事がこなせるようになっても賃金は全く上がらず、この複雑な業務内容や負うべき責任に対して、賃金が少なすぎると感じています。3月末に自己退職する同僚は、昇給もなく、休暇も少ない処遇に納得できなくて退職します。契約更新からくる心労や処遇の低さは、非正規職員から働きがいを奪い退職へと導きます。こんなことは年金機構にとってもマイナスだと思います。ぜひ雇い止めを前提とせず、処遇の改善や、早期の無期転換に向け取り組んでほしい」と訴えました。

 各種手当の支給と月給制への以降を

 同じ厚生労働省所管の法人でありながら、健康保険協会では支給されている扶養手当が、なぜ年金機構では支給されないのか、各種手当についても支給しない理由を明確に示すべきだと当局に求めました。また、労働日数によって賃金が変動する日給月給制を改め、すべての職員の給与形態を月給制に統一し、基礎日数を22日とするよう求めました。
 年金機構は、この間の団体交渉と同じく明確な回答を行わず、賞与支給の実績を繰り返し、処遇改善は検討していると述べるのみで、職員の意識との乖離を露呈するばかりでした。

 すべての職員が働きやすいに職場に

 無期転換制度が導入され、今後年金機構は無期転換職員が中心の職場となります。
年金機構が非正規職員に対して経験年数に応じた業務遂行を求めるなら、それに見合うだけの処遇の改善は表裏一体の関係にあると言えますし、非正規職員が働きがいを持ち、安心して長く働ける職場の実現は、処遇改善なしにはありえません。
 無期転換制度の導入は、非正規職員の処遇改善に向けた大きな1歩ではありますが、それがゴールではありません。引き続き年金機構がすべての職員にとって働きやすい職場となるようねばり強く団体交渉等に取り組んでいきます。